私がNiciraに入ったわけ

私は2011年の5月に(当時の)Niciraに入りました。その当時、私は「Fivefront」という、以前Ascendで仕事をしていた時の同僚と起こした会社をやっていました。Fivefrontでは主にNetFlow / sFlowのコレクタ製品の販売に携わっていましたが、新しい商材も探すのも私のミッションの一つでした。あるとき米国の知人(彼もAscend時代の同僚でした)、彼が務めていた会社が日本に進出したいので一度話を聞いてくれないか、と相談があり、我々としても新しい商材を探していたので、一度話を聞かせて欲しいと返事をしました。彼の来日の日取りも決まり来日目前のところで、突然彼の会社が別の会社に買収されてしまったのです。彼はその買収元の会社で働く気はないとのことで、その会社を辞めてしまったため、来日の計画もパー、事業提携の話も白紙になりました。実はその彼が移った先の会社がNiciraだったのです。

彼が移った先の会社がどんなところか興味があったので、Webで調べてみたりしたのですが、当時のNiciraはまだステルスモードだったため、ホームページを見てもほとんど何も分かりません。でも、なんとなく面白そうな事をやっていそうな気配があったので、その彼に「前の会社の話はともかく、移った先の会社の話を聞かせて欲しい」と頼むと、ちょうどNiciraも日本に進出する計画があり、日本にも来る予定があるとの事だったので、その時に話を聞かせてもらう約束をしました。その前に少し勉強ておきたいので何か資料を送って貰えないかと頼んだところ「ステルスモード中なので資料は何も出せない。代わりにこの論文を読んでおけ!」と送られてきたのが、Martin Casadoらが書いた論文2本でした(笑)。そのうちの一本がこれです。

その論文を読んだところ、当時の私には100%理解はできかったものの、非常にドキドキしたの事を深く記憶しています。「ひょっとしたらネットワークが変わるかもしれない。もし変わるとしたら、こういうところから変わるはずだ!」と感じたのでした。後日、彼ともう一人エンジニアのボスが来日した際に話を聞きましたが、この直感は確信に近いものに変わりました。帰り際に「日本に進出するにあたりエンジニアを捜している。今回の来日でも何人かと面接をした。誰かいいエンジニアを知っていたら紹介してくれ」と頼まれました。心が揺れました。この会社に入ってこれからのネットワークを変える仕事に携わりたい、と思ったからでした。一方で、Fivefrontは本当に小さな会社だったので、仮に一人社員を欠くだけで会社に大きな影響を与える事は避けられません。ましてや会社を起業した一人として、一社員とはまったく違う次元の責任を負っています。一生懸命働いて小さな会社を支えている他の同僚の方々に対して大変申し訳なく思う気持ちはありました。しかし最終的には「僕をそのエンジニア候補の一人に加えてもらえないか?」とNicira側に申し出る決断をしました。

その後、Niciraの上層部の人たちから電話面接を受けました。その時の一人はMartinでした。あまり技術的な話をした記憶はありません。そもそも当時の私は仮想化に関する知識はほぼゼロでした。Hypervisorに触った事もありません。OpenFlowという言葉を知ってても、それがどんなものかも知りません。Open vSwitch?、何それ?状態です(笑)。当時、このへんの事についてアンテナを伸ばしていた人はNiciraがどんな会社で何をやろうとしているか、などなんとなく知っていたに違いありません。一方、私はド素人です。にもかかわらず、なぜか私は合格し(これはいまでも不思議でなりません)、晴れてNiciraで日本第一号の社員となりました。

入社して最初の週にたまたまSales/SEが一同に本社(カリフォルニア州パロアルト)に集まる機会があり、私もそれに出席しました。ただ、皆が何を話しているかさっぱり分かりません。新手のプロトコルかと思った4文字英語が実は客の名前だったりして、まったく話が噛み合いません(爆)。また、その日初めてNVP(NSXの前身)に触りました。「ほら、これ見てやってみろ」と、”Getting Started Guide” というドキュキュメントを渡されて、NVPの設定を初めて行いました。実はその時に初めてHypervisorというものに触りました。フムフム、Hypervisorって、こんなふうになってるのか。。ただ、ここをこうしてこう設定しろ、ってGetting Started Guideに書いてあるのですが、何のためにそれをしているのかさっぱりわかりません。そんな状態ですので、思ったように動かなかった場合の切り分けできようはずもありません。もうもなかば泣きながら設定をしました。当然予定されていた時間内に終わらず、居残り作業です。もう一人いた同時期入社のSEと夜遅くまで頑張りました。

そんな感じで始まったNiciraでの日々ですが、ステルスモードが明けてからあれよあれよという間にVMwareに買収され、NVPがNSXとして進化し、今日に至っています。その間、沢山の苦労もありました。長かったようでもあり短かったようでもあり。でも、今、自分がここにいれて本当に良かったと思っています。

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