ほぼ2年ぶりに書くBlogがこの話になるとは思ってもみなかった。
Steve Jobs。
彼は間違いなく少なからず僕の人生に影響を与えてくれた人のうちの一人だ。
Appleの時の彼は、もちろんAppleの創業者の一人として認識していたものの、当時僕自身はAppleユーザではなかったこともあり、それ以上の存在では無かった。その後、Appleを追われ、NeXT Computer(以下NeXT)を立ち上げた頃から、彼との接点が多くなったように思う。
僕にとってNeXTは強烈であった。僕にとって初めてのUNIXワークステーションがNeXTであったというのもあるが、それ以上に、NeXTが僕がそれまで知っていたコンピュータとあまりに異なっていたせいだと思う。美しい筐体とディスプレー、そして当時としては先進的なMOを搭載。ハードウェアも奇抜だったが、一番驚いたのはソフトウェアだ。特にInterface Builder(IB)にはただ驚くばかりだった。なぜ、インタプリタ言語ではないObjective-Cで書いた自分のコードが、リンクする事なしにその場でユーザインターフェースと結合テストができるのか? 静的なバインディングの世界しか知らなかった僕にとって、あの動的な世界は衝撃であった。ウィンドウシステムも、当時一般的であったX WindowではなくDisplay PostScriptを採用。そして、カーネルにマイクロカーネルのMachを採用した。これも斬新であった。僕がMachを生んだカーネギーメロン大学(CMU)に行く大きな動機となった。
SteveがAppleに復帰後、傾きかけていたAppleにiMacを投入し、そこからの成功劇はみなさんも良くご存知の事と思う。無骨なコンピュータをスタイリッシュなものに変身させ、音楽をネットワークからダウンロードできるビジネスモデルを作り、携帯電話の世界を変えてみせた。単にコンピュータだけではなく、我々の生活環境を確実に変えてくれた。そんな人はいままでいなかったと思う。
彼が生きていたら、これからどれだけ我々の生活を変えてくれたのだろうか、と思うと本当に残念でならない。この言葉はもう彼には届かないけれども、とにかく心から感謝の意を表しておきたい。ありがとう Steve。